掲載記事┃No.1メーカーが見据える3Dプリンタのこれから


特集 3Dプリンタは産業界・研究界に革命を興すのか?エンガレージ(2014/06*04)掲載

世界ではじめて光造形装置が製品化されて27 年。常に3D プリンティング技術の先頭を走ってきたのが、3D Systems 社である。3D プリンタの老舗として、『3D PRINTING 2.0』を掲げ、新しい時代を築こうとしている。 3D プリンタは今後どのように研究現場に入り込んでいくのか? 3D Systems 日本法人の小林さんと、国内で販 売を手がける正規代理店シネックスインフォテック社の土居さんに今後の計画を聞いた。

試作品から最終製品へ

No.1メーカーが見据える
3Dプリンタのこれから 3D プリンタは30 年前に開発されてから今日まで、製造現場の「ラピッドプロトタイピング」すなわち、 試作品開発のツールとして用いられてきた。デジタルデータを元に光硬化性樹脂をレーザーで固めて立体物 をつくる光造形技術を中心に、スケールモデルや製品評価が主な用途であった。しかし、近年技術の進歩や それに伴う低価格化により、試作品だけでなく、製品の型や最終製品としての応用が進んでいる。航空 業界で使うダクトや医療業界でのカスタム補聴器など、通常の切削や鋳型では難しい複雑な構造を持つ 製品が3D プリンタでの製造に切り替わっている。また、建築の分野でも石膏型高性能複合素材をプリント できる「ProJet®x60 シリーズ」で出力することによって、光造形やレーザーカッターに比べコストを1/6 に 削減し、4 倍の速さで模型を作ることができるようになった。「歯の矯正で利用されている米国アライン・ テクノロジー社のインビザラインは当社の3D プリンタで顧客一人一人のオーダーメイド製品を印刷して年 間1700 万人に届ける、という新しいビジネスを生みました。ゼネラルエレクトロニクス社も3D プリンタ の利用は現在10%以下だが、将来は、 試作品の作成、医療機器やジェット・エンジンのパーツの作成などの ものづくり関連事業の50% で活躍すると明言しており、私たちが提案している3D プリンタは今もものづ くりの幅を広げています」と小林さんは力強く語った。

理解を深めるツールとしての活用

「3D プリンタの進化はものづくりの世界以外にも変化をもたらしつつあります。大学や企業において、今 まで、ディスプレイ上で議論していた3D データを、安価にフルカラーで出力することが可能になったた め、ディスカッションやプレゼンテーションに変化が起きてきました。実際の機構や構造を表現できるのは もちろんのこと、ひずみを物理シミュレーションした結果を出力することもできるようになったのです」と、 3D プリンタを販売している土居さんは語る。

建築物の例、ProJet®x60 シリーズで
 出力した機械部品 また、教育機関での活用も盛んになっている。海外では機械や建築系の学生が3D CAD のトレーニング として利用している例も増えている。学生が作った構造が、正しく作られているかを実際に出力することで 理解することができるのだ。また、先に話した臓器モデルも、専用の材質を使うことで実際に切断できる質 感を得られるため、ガン摘出手術のトレーニングに使われている。その他、分子模型を出力することで分子 どうしの相互作用を解析するための手助けにもなっている。

利用の範囲はどこまでも広がる

歪み等数値解析結果の見える化で利用 2013 年に、3D Systems 社はフランスの金属3D プリンタメーカーを買収し、ステンレス、鋼、貴金属、 セラミックの加工が可能になった。2014 年にはABS樹脂等のプラスチックに加えてゴムやポリカーボネー トの3 種類の素材を一度に組み合わせて造形できるプリンタが販売される。データの取り込みに関しても、 「SENCE」という3D スキャニングシステムが開発され、実物のデジタル化が簡単にできるようになってき た。「データを取り込むスキャナー、ソフトウェア、3D プリンタすべてを私たちは揃えています。そして、 それらをネットワークで繋ぎ、プラットフォームを作っていこうと考えています」。  3D プリンタの進化がもたらすものは、既存のものづくりを簡単にすることではなく、ものづくりに新し い要素を加えることだ。この20 年、IT 技術が私たちの研究や生活を大きく変えてきたように、3D プリン タは私たちの世界を大きく広げていくことだろう。

3DSystems が考える『3D Printing 2.0』

ラピッドプロトタイピングから

スタンドアロンのマシンから

単一マテリアル、単一カラーから

バッチ3D プリントから

製品・技術中心から

 消費財へ

 プラットフォームや経験へ

 フルカラー、マルチマテリアルへ

 クラウド3D プリントへ

 経験やソリューションへ

フルカラー ProJet®660Pro

【フルカラーProJet®660Pro 製品スペック】

・最大造形サイズ 254 × 381 × 203 mm
(幅×奥行×高さ)

・利用できる素材 Visijet PXL

・積層ピッチ 0.1 mm

・入力データ形式 STL, VRML, PLY, 3DS, ZPR

・電源 100V 50/60Hz

・外形寸法 幅740 ×奥行1880 ×高さ1450mm

・サポートOS Windows 7/Windows Vista




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